2011年5月10日火曜日

’10記者ノート:県住宅供給公社の破産後 街愛する住民が支え /茨?

 「我々は夢まで買ったのに……」。今年10月、総額523億円の負債を抱えて破産した県住宅供給公社の住民説明会後、公社が推進した団地に住む男性が言葉を詰まらせた。公社がうたった「安心で住み良い街づくり」。そこに希望を託した住民たちのやり場のない憤りと、あきらめが入り交じった複雑な感情が伝わってきた。
 公社破産から2カ月余り。住民は今どうしているのだろうと、団地の一つ、「百合が丘ニュータウン」(水戸市)を訪ねた。団地のあちこちで今も「好評分譲中」ののぼりが立つ。公園の木道は一部が割れ、くぎが飛び出している。早急な補修が必要と感じた。
 団地では、公社との交渉委員会を設け、破産前から行き止まりとなったままの橋の先の周回道路の開通や、除草などを要望してきた。だが、破産管財人の手に渡ってしまった以上、県も「町内会の意向は管財人に伝える」と回答するしかない。
 交渉委員会の委員長で町内会長の三代弘美さん(67)によると、同団地は01年に大幅な土地の値下げを受け、当時の住民説明会は深夜まで紛糾。その当時の説明会と比べれば、破産説明会は穏やかなものだったという。「県に何を言っても『のれんに腕押し』と思っているのではないか」
 重苦しい気持ちのまま帰ろうとした時、三代さんが誇らしげに言った。「でも、百合が丘はきれいでしょう」。確かに街はきれいだ。道路にタバコの吸い殻など見当たらない。三代さんは今、2日に1度ほど、早朝にごみ拾いをしているのだという。「以前は不法
投棄もずいぶんあったけれど、ごみは減った。きれいになっていれば、ポイ捨てできないものだよ」
 三代さんの街に対する思いや行動が、少しずつ街全体に広がっていくといい。公社破産という異例の事態の中に、一筋の光を見た気がした。【鈴木敬子】

12月26日朝刊

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引用元:ラテール rmt